映画「情熱のピアニズム」公式サイト

#05 高橋 佳希さん

2012/10/13 02:31 up!

当時の旧ブルーノート東京は今の箱よりも狭くて窮屈で変なところに柱もあったけど、演奏者と観客の距離感が近く、ある種の一体感が生まれる特別なライブハウスだった気がします。
15年前、当時学生だった私は、学生にしては高価なチケットを買って、ブルーノート東京に。開演前から超満員で、立ち見も含めて会場内は息苦しいくらいの熱気に包まれていました。
そして、アンソニージャクソン・スティーブガッドと共に、ペトルチアーニ登場。確かスタッフに抱きかかえられながらの登場だっと記憶しています。

ライブが始まり、最初の一音から圧倒されました。ピアノなのに一音一音の音圧がすごい。体全体を使ってピアノを操る姿は、まさに自分の生命を削って一音一音を紡ぎ出している、ピアノの化身という表現が相応しいと感じました。

アンソニージャクソンとスティーブガッドのプレイも、ペトルチアーニのポップな音色に絶妙に合っていて、素晴しいパフォーマンスでした。
夢のようなライブが終わり、しばらく感動で動けませんでした。涙も出ていたと思います。

翌年、ブルーノート東京での再演が決定し、チケットも抑えていたのですが、急な訃報を聞きしばらくショックで呆然としてしまいました。
ただ一方であの魂を削ってピアノを弾く姿を観る限り、彼は死期が近いことを知っていたかもしれません。
私にとって、あのライブは一生忘れることのできないすごい経験でした。

高橋 佳希