映画「情熱のピアニズム」公式サイト

#07 吉村 純子さん

2012/10/13 02:32 up!

ペトルチアーニのライブを聴いたのは、あの、昔のブルーノートでのただ一度だけです。
ずいぶん昔のことで、何年のことだったのかも忘れてしまっていましたが、今回のイベントを知り、「1997年のことだったのか…。」とあらためて過ぎ去った年月の長さを思ってしまいました。
もし彼が生きていたら今の私と同い年なんですよ…。

私は「エスターテ」「ハンドレッド・ハーツ」「ライブ・アット・ザ・ビレッジ・バンガード 」等の作品が大好きで、繰り返しCDを聴いてきました。大好きなペトルチアーニの演奏が生で聴ける、それが嬉しくてたまりませんでした。

でもその時はまさか、それが生でペトルチアーニを聴く最後になるとは思いもしませんでした。

当時のブルーノート東京の、狭いステージ向かって左側にピアノがセットされていました。幸運なことに、私はピアノのすぐ脇の席に陣取ることができました。ペトルチアーニの背中と指の動きを1メートルの至近距離で感じながらのとても贅沢なライブでした。ピアノのペダルには小さい子どもがピアノを弾くときに使う補助ペダルがセットされていました。
小さな身体からはとても予測不可能なダイナミックな演奏に終始、圧倒されっぱなしでした。ほとんど夢見心地で聴き入って、あっという間の幸せな時間でした。
演奏が終わったあと、アンソニー・ジャクソンが、ペトルチアーニを抱き上げて聴衆にあいさつしていましたっけ。微笑ましかった…。

本当のことを言えば、スティーブ・ガッドとアンソニー・ジャクソンとのトリオは、私の中ではペトルチアーニのベスト・ユニットとは思っていなかったんですけれど、あの時の演奏はのちにライブ盤にもなったので、私にとって生涯忘れられないライブになりました。

吉村 純子